REPORT vol.8タイトル


 5月19日、大手信販会社のライフが、会社更生法の適用を申請した。以下に新聞記事を引用する。
「大手信販会社のライフは19日午後、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。同社の妻鹿徹社長(55)が記者会見して明らかにした。主力銀行である日本長期信用銀行の一時国有化で、急速に経営が悪化。経営再建に向けて米大手ノンバンクのGEキャピタルと出資交渉を進めていたが破綻となり、事業の継続が困難となって自力再建を断念した。負債総額は9663億円で、史上番目の規模。
 今後は、長銀が資金繰りを支援し、クレジットカード会員はこれまで通りカードを使用でき、加盟店や提携カード会社にはライフが支払いを継続するという。(以下略)」(5月20日付 中日新聞朝刊より)
 ライフは、 長銀色の強い信販会社で、同行が1998年に一時国有化されて以来、取引金融機関からの返済圧力に押されていた。同社の取引金融機関は、長銀はじめ、富士・日債銀・広島・...と、バブル崩壊で大きな傷を負った金融機関が多く、これが寿命を縮めた原因とも言える。特に広銀は、長銀とも肩を並べるほど同社に出資しており、地銀トップクラスの同行が支援できなかったというあたりが、各金融機関の体力低下を伺わせる。
 ライフは生き残りをかけ、GEキャピタルと出資交渉。1999年にはコスト低減をかけ、発行カードのマスターカード比率80%目標を掲げるが、今や国内で劣性のマスターカードへの切り替え、およびその新規発行が思うように伸びず。また、人気タレントを使ったTVCMは好評であったが、会員獲得には結びつかなかった。
 そして、GEキャピタルとの出資交渉が決裂したことにより、会社更生法の申請を決断するに至った。

 さて今後、同社は長銀から融資を受けながら再建を目指すが、その道は前途多難である。経営が行き詰まっている長銀。体力の残っていない、その他の取引銀行。そして、「隙あらば」と狙う外資。三者をにらみながらの再建になる。旧山一証券のように、いったんは見放した外資が、美味しいとこ取りを狙って買収することも十分に考えられる。既に経営基盤を持つ会社を買収すれば、初期投資がほとんど要らない。国内の企業(特に金融)には、買収する体力は残っていない。こう考えると、結局は一旦見放したGEキャピタルが出てくる可能性は非常に高いといえる。

(2000.5.21)

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